ご無沙汰しております。福島営業所の菅野です。
今回もウッドショックの現状を取り上げたいと思います。
この度のウッドショックを、第3次ウッドショックと呼んでいますが、
過去2回ありました。第1次は、1992年から93年にかけて起きた、
世界的な天然林保護運動をきっかけとした木材需給のひっ迫や中国の市場開放政策から起きた資材暴騰です。
第2次は2006年、インドネシアの伐採制限に端を発して合板が暴騰し、諸外材に飛び火した事態です。
おおよそ14~15年周期に、世界規模での木材のひっ迫が発生していることになっています。
しかし今回のウッドショックは、原因が複雑になっています。
値段を上げればモノが確保できるということではなく、
ものそのものが確保しにくい状態となっている、ことが大きな特徴です。
現状、大手メーカーさんなどは、独自の調達ルートを確保し動いている一方、
製品市場で木材を調達している中小工務店は、目先の現物確保がやっとで、
しかも高値で買わざるを得ないような状況です。
今回の大きな原因は、米国、中国に続いて欧州などで、
各地で一気に木材需要が増加したことが直接的な原因と見られています。
これを契機に、国産材資源に今まで以上に注目が集まり、
大手のサプライチェーンの中に国産材も組み込まれ、その中で中小工務店は、
高値で不安定な量と価格の木材を買わざるを得なくなってしまい、
やむなくお客様へ価格転嫁するしかない、といったところです。
林野庁によると、2019年の木材自給率は、なんと37.8%しかありません。
これに対して、同年のカロリーベースの食料国産率(飼料自給率を反映しない)は47%、ですので、
日本の住宅の根幹を支える国産材が、食料国産率よりも低いという、非常にお寒い状況にあります。
これでは、将来輸入材でしか住宅を建てることが出来なくなってしまうのではないかと、
危惧するところです。我が国の林業従事者数は年々減少しており、2015年のデータで、
4万5千人しかなく、しかも高齢化も年々進行していまして、
今や全産業の65歳人口の平均割合が13%なのに対して、林業は25%になっています。
2020年の我が国の労働力人口が、6,676万人に対して、
林業従事者はわずか0.06%、ニートと呼ばれる2020年の若年無業者数が、
87万人ですので、この数字をして、これはもう、国が本気になって、
日本の林業を守るための具体的な政策を実行しなければならない危機的状況と、言わざるを得ません。
今すぐ本腰を入れて、国内の林業育成をしなければ、
国内材を使用した住宅は消滅しかねないどころか、ウッドショックの度に、
一般の住宅建築・購入者は、高価な木材を購入せざるを得ないということになってしまいます。
今回のウッドショックは、今後の輸入材の大量入荷による市況暴落でまた元に戻るのか、
新たな国内木材調達の仕組みづくりの始まりになるのか、
住宅業界を始めとした日本国内の林業の真価が問われることになると思います。
今後とも注意深くその動向を注視し、お客様に安易な価格転嫁をしないよう、
日々努力を重ねていく所存です。今後ともご支援・ご理解の程、宜しくお願いいたします。